PCB Release 画面

 

Parent article: Vault によるエレクトロニクス設計

PCB Release 画面の例。

PCB Release 画面 (View»PCB Release View) は、Altium Designer の PCB Process Manager (ボードデザインリリースプロセスを実行するために使用します)へのグラフィカルインターフェースです。そして、2 つのモード(Design ModeRelease Mode)で操作する 'ダッシュボード' です。 

概要説明を確認

Design Mode、または Release Mode で PCB Release 画面を使用する前に、その画面の構成(概要説明)を説明します。 

プロジェクトを開く

その画面の最上位の領域には、現在、開いている各 PCB デザインプロジェクト(Projects パネルに反映された)用の個別のタブがあります。各タブには以下の情報が表示されます:

  • PCB プロジェクト名
  • プロジェクトに定義した configuration 数 
  • バージョンコントロールのステータス情報。バージョンコントロール下の PCB プロジェクトについて、その項目には、ローカル sandbox のコピーとリポジトリ(Design Repository)に保存されたファイル間の状態が反映されます。これには、Up To Date、Unsaved Changes、Local Changes、Files Missing From VCS のような状態も含まれます。バージョンコントロール下に無い PCB プロジェクトではこの項目は変化無く、Not In VCS となります。   

2 つのプロジェクトを開き、PCB Release 画面に表示した例。

Configuration Manager ダイアログを素早く表示するには、プロジェクト名や configuration の文字をクリックするか、またはプロジェクトアイコンをクリックします。 

プロジェクト Configuration

Main article: PCB プロジェクト コンフィギュレーション

画面のプロジェクトレベルのタブをクリックすると、サブのタブとしてプロジェクトに定義した configurations が表示されます。Configuration Manager ダイアログ (Project»Configuration Manager) で定義したように、各タブには以下の情報が表示されます:

  • configuration 名
  • configuration がマップされる Item の ID(プロジェクトでターゲットにした Altium Vault 内の)。 
  • Item の現在のレビジョン(とライフサイクル状態)。

プロジェクト PB02.PrjPcb に定義した 2 つの configuration を表示した例。 

configuration が vault 内の Item にマップされない場合、Item ID と Revision ID 情報は表示されません。代わりに、Not Mapped to Item のタブが表示されます。 

プロジェクトの Configuration Manager ダイアログを素早く表示するには、configuration 名、または configuration アイコンをクリックします。Item 画面を表示するには、Item ID、または Revision ID をクリックします。 

プロセスフロー

各 configuration にはそれに関連した Process Flow があります。このフローにはボードデザインリリースプロセスが表示されます(Design Repository からデザインを入手してその configuration を処理し、Altium Vault 内の参照した Item(とレビジョン)へリリースデータをコミットします)。  

左側に Design Source の領域(アクティブデザインプロジェクトのステータス情報を含む)が表示されます。右側に Target Vault の領域(選択した configuration へマップする Item に関係するステータス情報を含む)が表示されます。その 2 つの間で Design mode と Release mode を切り換えできます。  

その下は、プロセスフロー(ボードデザインリリースプロセス)を表します。 

選択した configuration の(Design Mode の)プロセスフローの例。 

全体のフローは、以下の 4 つの個別の stage から成ります:

  • Checkout Snapshot – この最初の段階で、dependency を含むデータのスナップショット(ソースドキュメントやそれに依存するドキュメント)は Design Repository からチェックアウトされます。 
  • Validate Design – validation output ジェネレーター(リリースされている configuration に割り当てられた出力ジョブ ファイルで定義した)は、この段階で実行されます。これには、相違レポート(ソースと PCB デザインドキュメントが正しく同期するかどうか決めるコンパレーターを使用します)、エレクトリカルルールチェック(ソースデザインの電気的/描画をチェックします)、デザインルールチェック(ボードレベルデザイン制約に関して PCB ドキュメントをチェックします)、フットプリント比較レポート(ソースライブラリとボード上のフットプリントを最新にし一致させるために、それらを比較します) が含まれます。  
  • Generate Outputs – 出力ジョブ ファイルで定義したその他の出力は、この段階で実行されます。これらは、Item のリリースをドライブする出力です。物理的な Item により、売買できる形のある製品として作成されます。 
  • Commit Release – この stage は、生成された出力やデザインドキュメントのスナップショットを、vault に保存された Item の新しいレビジョン(計画したレビジョン)へリリースします。 

フローで行えることは、現在のモードが Design Mode、または Release Mode であるかどうかに依存します。

Configuration Manager ダイアログを素早く表示するには、Design Source 領域 (<ConfigurationName> of <ProjectName>) 内のヘッダの文字をクリックします。Item 画面(レビジョンが示されます)を素早く表示するには、Target Vault 領域 (Revision <Revision ID> of <Item ID>) 内のヘッダの文字をクリックします。    

Vaults パネルを素早く表示するには、Vault アイコン、またはその上にある Target Vault の文字をクリックします。プロジェクトが vault を参照しない場合、Preferences ダイアログの Data Management – Vaults ページが表示されます。そこで、vault に接続できます。   

ファイル生成

その画面の下の領域には、 1 つ、または複数の出力ジョブ ファイル(リリースする configuration へ割り当てた)で定義した出力のリストが表示されます。storage 構造により、出力ジョブ ファイルの出力コンテナに定義した出力パスが反映されます。また、System BOM の項目は、[ItemID-RevisionID] SystemBOM.xml と言うフォーマットの名称でリストの下部に表示されます。  

configuration に生成する出力リストの例。

各出力について以下の情報が表示されます:

  • File Name – 生成した出力の名称(プリフィックスが付けられた Item ID と Revision ID (例えば、[D-820-2001-01.A.2] Design Rules Check.PDF ))。Generated Files 出力コンテナに関連した出力について、この欄には最初に出力(Output Name 欄と同じ)の名称が表示されます。出力を生成する時、この欄はファイル名を表示するために拡張されます。   
  • Output Job – 出力ジェネレーターを定義する出力ジョブファイル。
  • Output Medium – 出力を生成する出力コンテナの名称(例えば、PDF, File, Video)。
  • Output Name – 出力ジョブ ファイルで出力ジェネレーターに指定した名称。 
  • Category – 出力ジョブ ファイル内の出力カテゴリ。 
  • Source – 出力ジョブ ファイルの Data Source 欄で出力ジェネレーターに定義したように、出力を生成するソース。複数の出力ジェネレーターが、生成したファイル(例えば、PDF ドキュメント)と関連していてデータソースが異なる場合、この欄はブランクになることに注意してください。 
  • Status – 出力の現在の状態。以下は状態のリストです。 
     

    状態

    説明

    出力はまだ生成されていません/ありません。 

    出力は生成されましたが、設計側の変更はデータに反映されません。 

    出力が現在、生成されている状態です。 

    出力は validation-based で、レポート(エラーが無い)を生成しました。ERC レポートではエラーが無いか、またはエラーレベルは許容された範囲内です。

    出力(validation-based 出力以外)の生成が成功しました。 

    出力の生成が成功しませんでした。validation-based 出力(DRC、ERC、相違点、フットプリント比較)で、これは、ソースデザインドキュメント内にエラー(あるチェックが失敗する原因を引き起こしている)が存在することを意味します。標準出力では、出力を生成できませんでした。この場合、pre-generation のコンパイルを実行している時に Fatal Errors があるか、出力ジョブ ファイルの出力ジェネレーターの configuration に何か不都合があるかもしれません。 

File NameCategoryStatus のみが System BOM に表示されます。 

リストの下部にある GenerateOpenDelete ボタン(右クリックメニューで表示されるコマンドと同じ)を使用して、Design Mode の時に選択した出力でその動作を実行できます。 

画面の下部の欄には、生成されたファイルを保存する場所が表示されます。 

Design Mode を使用

PCB Release 画面のこのモードは、ボードレベルデザインプロセスをコントロール、管理するために使用します。ここで、確認を実行し、必要に応じて出力を生成できます(意図したconfiguration をリリースする前に)。  

このモードで、開いているプロジェクトの configuration 間を自由に移動できます。このモードの目的は、リリースしたいプロジェクトの configuration に集中しリリースする準備を完了することです。準備が完了したら、画面を Release Mode へ切り換え、リリースできます。 

Release Mode へアクセス

Release Mode にする前に、下図のように 3 つの領域が '緑色の表示' である必要があります。 

Release Mode にする前に、Design Mode で 3 つの鍵となる領域が成功している状態である必要があります。 

要約すると、これらは以下のようになります:

  • status は親プロジェクトタブに表示されます。 
  • Design Source 領域。
  • Target Vault 領域。

これらの最初の 2 つは基本的に同じインジケータで、version-controlled Design Repository と関連があります。'緑色' の状態にするには、設計プロジェクトのローカル作業コピー(sandbox)がマスターのリポジトリと同期している必要があります。例えば、新しいデザインファイルを追加、または既存のデザインファイルを修正した場合、デザインは同期しません。同期させるには、新しいファイルを追加、または変更をコミットする必要があります。 

この領域の問題を解決するには、その状態が "Files Missing From VCS"、"Out Of Date"、"Local Changes" である場合、Design Source 領域の状態と概要の文字がハイパーリンク(問題のファイルをリスト化したダイアログが表示され、同期した状態にするためにコミット、または更新できます)になります。 

Design Repository とローカルコピー間を同期するために使用するダイアログを表示するには、状態、または概要の文字をクリック。 

version-controlled Design Repository を使用していない場合、最初の 2 つの領域は問題ありません。その状態は、プロジェクトが VCS 下に無いことを示します。 

target vault について、最初に vault に接続して、vault 内に Item を作成していることを確認する必要があります。それから、リリースしたいプロジェクトの configuration が vault 内の Item を示す(固有の ID を参照する)必要があります。configuration が vault 内の有効な Item へマップされない場合、Target Vault 領域にそのように反映されます。状態と概要の文字はハイパーリンク(Configuration Manager ダイアログが表示され、そこで configuration がマップする vault 内の Item を指定できます)になります。 

設計プロジェクトが参照した vault 内の有効な Item へ configuration がマップされていないことを Target Vault 領域に表示した例。状態、または概要の文字をクリックして Configuration Manager ダイアログを表示。

Item に使用したライフサイクル定義に依存して、Item のレビジョンは post-release し、様々なライフサイクル状態(例えば、New From DesignIn PrototypeIn Production)に設定できます。しかし、Release Mode にしてプロジェクト configuration をリリースするには、Item レビジョンは Planned 状態である必要があります。この状態でない場合、Vault 領域にそのように示されます。この場合、状態、または概要の文字をクリックして Item 画面を表示します。ここで、必要に応じて Item の新しいレビジョンを作成できます。  

vault 内の Item のレビジョンへ configuration がマップされていないことを Target Vault 領域に表示した例。状態、または概要の文字をクリックして Item 画面を表示。 

新しいレビジョンの Item を作成したら、Configuration Manager ダイアログに戻りそのレビジョンを示す必要があります。configuration の更新によりプロジェクトファイルが修正された時、ファイルを保存して Design Repository へコミットすることを忘れないでください。そうでないと、Design Source 領域は同期した状態になりません!

Validation と出力生成

Related article: 出力ジョブ ファイルで確認レポートを定義

Design Mode で、プロセスフローは下図のように表示されます。 

正しく設定された Design Mode のプロセスフローの例。 

このモードで、フローの 2 番目と 3 番目の stage (Validate DesignGenerate Outputs)のみ有効であることに注意してください。これらの 2 つの stage を成功させることはボードデザインリリースプロセスで重要です。これらの stage のどちらかが失敗した場合、リリースは失敗します。そのため、Design Mode 内でこれらの stage にアクセスしてリリース前にチェックすることができます。  

Validate Design stage は、リリースプロセスでオプションです(リリースされている configuration へ割り当てた出力ジョブ ファイルとして validation 出力を定義した場合のみ含まれます)。  

特定の stage の出力を実行するには、その stage のボタン、またはボタンの右にある  アイコンをクリックします:

  • Validate Design – 出力ジョブ ファイル(configuration へ割り当てた)で定義した validation ベースの出力を実行します。 
  • Generate Outputs – System BOM、出力ジョブ ファイルで定義したその他の出力を実行します。   

Validate Design stage の状態が Missing (赤色)、または Out Of Date (黄色) の場合、Generate Outputs ボタンをクリックすると同様に最初に Validate Design stage を実行します。この場合に、Generate Outputs stage のみ実行するには、ボタンの右にある アイコンをクリックします。

stage を実行する時、ボタンの文字が変化し、どの出力がいくつ生成されているか表示されます。 

stage の出力生成の状態が、ボタンに表示されます。 

各出力の Status 欄の状態は出力が実行している時に反映され、生成が完了するとその結果が表示されます。全ての出力生成が成功した(validation は Passed、その他の出力は Up To Date)場合、Release Mode のフローでこれらの stage は成功します。  

Design Mode で全ての出力生成が成功した例。Release Mode ではこれらの stage は失敗しません!

Design Mode では、個々の基準で出力を生成できます。生成したい出力(validation レポート、標準の出力、System BOM)を選択し、リストの左下にある Generate ボタンをクリックします。生成したら、ドキュメントを表示(Open をクリック、または項目をダブルクリック)したり削除(Delete をクリック)できます。   

個々のドキュメントレベルで出力を生成、表示。 

Design Mode で生成した出力は、ローカル sandbox のプロジェクトフォルダ下、configuration の名称と同じ名称のサブフォルダ下に保存されます。出力がこのフォルダ内に保存される方法は、出力パスとして指定した、出力ジョブ ファイルの出力コンテナに定義した場所に依存します。 

Release Mode を使用

Related article: Item のレビジョンとライフサイクル状態の管理 - Item 画面

PCB Release 画面のこのモードは、PCB Project configuration をリリースするために使用します。これは、ボードリリースプロセスを実行する(設計プロジェクトの configuration を使用して、参照した Item を作成する必要なデータを入手するためにそれを処理します)場所です。それから、このデータは vault 内の Item のレビジョンとして保存されます。   

このモードで全てがロックされます。設計プロジェクトの configuration のみ有効なままです(他のプロジェクトや無効な configuration は暗く表示されます)。このモードで、別の configuration を選択したり、他のプロジェクトへジャンプできません。この時点で、選択した configuration をリリースすることに注力されます。 

Release Mode では、選択した configuration のみが利用できます。 

プロセスフローとデザインリリースプロセス 

Release Mode で、プロセスフローは下図のように表示されます。 

リリースする準備ができた時の Release Mode のプロセスフローの例。 

フローの全ての stage がアクティブになりますが、Commit Release ボタンのみが有効であることに注意してください。リリースを開始するには、このボタンをクリックします。各 stage は順番に実行されます(デザインソースのスナップショットが使用、確認され、configuration へ割り当てた出力ジョブ ファイルの出力が生成されます)。スナップショットと生成されたリリースデータは、リリースプロセス中、一時的なフォルダに保存されます。このフォルダは、Preferences ダイアログ (DXP»Preferences) の Data Management – Vaults ページで指定し、PCB Release 画面下部に反映されます。デフォルトの場所は、\Documents and Settings\<ProfileName>\Local Settings\Temp\Releases (Windows XP)、\Users\<ProfileName>\AppData\Local\Temp\Releases (Windows 7、Windows Vista) に設定されます。  

リリースデータに使用したデフォルトの一時的なフォルダ。 

スナップショットや生成されたデータは、vault へコミットされます(一時的なフォルダから vault へコピーされます)。一時的なフォルダの内容は、Release Mode を終了した後に削除されます。コミットと同時に Release Summary ダイアログが表示されます(vault 内の Item のレビジョンに保存されているデータがリスト表示されます)。 

configuration のリリースが成功した例。リリースデータ(スナップショット + 出力)は vault へコミットされ、Item のレビジョンに保存されます。リリースしたドキュメントやデザインのスナップショットの概要が Release Summaryダイアログに表示されます。 

プロセスが自動化されると、手動のリリースプロセスによるエラーの危険を考えなくて済みます。製造へ送ったデータは、設計した通りの製品を製造するために必要なものです。 

プロセスフローの全ての stage が成功する必要があります。そうでないと、リリースは失敗し、データは vault へコミットされません。 

リリースが成功したら、Item のレビジョンのライフサイクル状態は Planned から Released、または New From Design (ライフサイクル定義に依存します)に変わります(configuration のタブに表示されます)。 

リリースした configuration のタブは更新され、Item レビジョンのライフサイクル状態が反映されます。上図は、基本のライフサイクル 以外のライフサイクル定義の例です。 

リリースされたら、Item (とそのレビジョン)に関する詳細情報やライフサイクル状態を Item view (Target Vault 領域のヘッダにある文字 (Revision <Revision ID> of <Item ID>) をクリックして表示します)でコントロールできます。 

容易に履歴を調査

新しい Item のレビジョンを生成する時、リリースプロセス中、Altium Designer はバージョンコントロール リポジトリアドレスやプロジェクトのレビジョンを記録し、vault へこの情報をコミットします。この方法は、将来的にいつでも、バージョンコントロールから設計プロジェクトの全てのファイルのスナップショットを取り戻せることを意味します。言い換えると、PCB デザインの configuration をリリースした時期を確認し、この時期に戻って configuration を取り戻し、修正、再リリースできます。  

リリースデータを vault 内の Item Revision へコミットする時、Design Repository に保存される 2 つのファイルにリリースが '記録' されます。 

  • Item ID-Revision ID[ProjectName].ReleaseInfo – このファイルはリリースの詳細です。ソースデザインドキュメントのバージョンコントロール リポジトリアドレス(URL)と生成されるファイルがリスト表示され、ボードデザインリリースプロセスのコミット stage としてチェックインされます。 
  • _Release.log – このファイルはプロジェクトの詳細です。プロジェクトのリリース(リリースした configuration 名やデータをリリースしたItem のレビジョン)に関するログです。 

これらのファイルは、ReleaseInfo と言う名称のサブフォルダにある Design Repository へチェックインされます。 

リリースについての情報は、.ReleaseInfo ファイル内の Design Repository に保存されます。設計プロジェクトの全てのリリースは _Release.log ファイルに表示されます。 

Storage Manager パネルから _Release.log ファイルのレビジョンを表示して、そのプロジェクトの全てのリリースの履歴を確認できます。 

Storage Manager パネルから素早く表示したプロジェクトのリリース履歴。
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